飲茶の店と一口でいっても、実はいくつかタイプがあることをご存知でしたか？
点心を提供する店のレベルや雰囲気は、意外にも幅広いです。
香港での飲茶が初めてだったら、なんだかピンとこない話かもしれないですね。
ここではタイプの特徴からどんな飲茶店があるのかを紹介します。
限られた滞在時間しかない旅行者にとって、お店選びはとても重要ですよね。
せっかくの一食が失敗に終わらないように、自分好みに近い飲茶店で点心を楽しみましょう！
飲茶店の今と昔
その昔、広東州では店のタイプは２つしかありませんでした。茶樓と酒樓。
茶樓は飲茶店のこと。
朝は4時から夕方4時まで営業し、お茶と点心を提供する店。
点心は軽食（スナック）なので、茶樓は現在で言うところのカフェにあたり、商談の場所でもありました。
「でもなぜそんな早朝から開いていたのか？」
それは当時、上海やマカオへ船に乗って仕事に出かける人が腹ごしらえをする場所でもあったからです。
そして酒樓はレストランのこと。
茶樓が店を閉めた夕方から夜中まで営業し、食事と酒を提供し、結婚式などパーティーを行う場所でもありました。
だから「ホテルの広間かい？」と思うような広さの店が、現在もあります。
時代は流れ、酒樓がランチも始めるようになります。
点心人気も伴って酒樓では点心も提供することに。
そして現在は、点心専門店ができ、茶樓は徐々にその姿を消しつつあります。
皆さんが「飲茶」と聞いてイメージするセイロで蒸された食べ物は、点心です。
飲茶とは、中国茶とその点心をいただく行為のことを意味します。
「飲茶」という言葉ができた当初は、座禅中の眠気覚ましに茶を飲むことだったようです。
時代は流れ、当時お茶請けだったナッツや菓子は広州で大きな変化をとげ、現在の点心になりました。
多くの人が勘違いしている「飲茶食べたい」は、「飲茶したい」が正しいでしょう。
タイプ別で飲茶店を選ぼう
点心を出す店は香港に星の数ほどあります。
店のタイプに確たる境界線はありませんが、今回は独断と偏見で大きく４タイプに分けました。
価格はタイプの目安として参考にしてください。（2020年4月現在）
記事にする予定のない店に関しては、レビュー付きです。
点心専門店：とにかくコスパ重視！
- 点心のファストフード店！（と感じる）
- コスパがいい！
- 点心の種類の多さも満足。
- 価格の割に味もよい。
- 店の前に行列はできるが、客さばきがよく、回転が早い。
- その分ゆっくり店内で過ごしづらく、食べたら出る！（そんな感じ〜だったのはコロナヒット少し前までの話。）
- 入店してから「食器洗うの？」などマナーに迷うことがない。
- 食器がプラスチック。
- メニューは英語、日本語表記のところもあり、マークシートで注文。
- サービス料は含まれず、支払いは現金のみ。
- 点心の価格はHK$18〜スタート。
聚點坊(ディムサムスクウェア) ＠上環：根強い人気
添好運 (ティムホーワン)：馬拉糕が絶品！
一點心 (ワンディムサム) ＠太子：日本語メニューが写真付きであるよ
茶樓：伝統的な雰囲気を味わいたい！
- 何といっても伝統的なワゴン式はノスタルジーを感じる。
- メニューが読めなくても心配ない！
- 点心を見て選べるワクワク感がある。
- 茶盅（チャーチョン）伝統的な湯呑み茶碗がある。
- 伝統に従って食器を洗うなど、日本にはない体験ができる。
- 自分のペースでゆっくり食事を楽しめる。
- 新聞を読みながらゆっくり飲茶を楽しんでいるおじさんやご夫婦、週末の家族団らんなど、香港人のライフスタイルを垣間見ることができる。
- 支払いは現金のみ、またはオクトパスカード。
- サービス料が含まれる場合がある。
- 点心の価格はHK$18〜スタート。
蓮香居(Lin Heung Kui) ＠上環：伝統的な飲茶店ならここに決まり！初心者さんでも楽しめます。
[香港]上環ワゴン式飲茶店 蓮香居 (Lin Heung Kui)
蓮香茶室(Lin Heung Tea House )@中環：初心者さんには蓮香居のほうが、点心を選びやすいでしょう。
茶樓：超ローカルな雰囲気を楽しみたい！
- ディープな香港大好きな人向け。
- ほとんどの店は英語が通じず。（英語のメニューがあるところもある）
- 小さなことは気にしない、アジア旅行なれしている人向け。
- 隣の人との距離が近い。
- 中環(セントラル)から少し離れた場所にある。
- 早朝から営業し、夕方前には閉まる。
- 支払いは現金のみ。
- 点心の価格はHK$18〜スタート。
新興食家(Sun Hing Restaurant) @堅尼地城 ：カオス！店の雰囲気に圧倒される。ドキドキのローカル飲茶店。
[香港]ケネディタウンの超ローカル飲茶店 新興食家(Sun Hing Restaurant)
叁去壹飯店(Saam Hui Yaat) ＠西營盤：ローカルが懐かしいと感じる
端記茶樓 (Duen Kee Chinese Restaurant) @荃灣：山の中腹にある村の有名な飲茶屋さん。緑の中でいただく点心は格別！
酒樓：点心だけでなく中華料理も楽しみたい！
この層は幅広く、ミシュラン３⭐️から定番点心メニューをモダンにしたレストラン、高級食材を使った点心メニューのある店までを一挙にまとめてしまいました。
- パーソナルスペースが確保されている。
- 点心以外の中華料理も楽しめる。
- 高級食材を使用した点心もあり、盛り付けが洗練されている。（ワゴン式でない店）
- 使用している食器がきれいで、衛生面で安心。
- サービス料が含まれる。
- 支払いはクレジットカードでもOK。
- 点心の価格は低価格な店でHK$40〜スタート。
酒樓（ワゴン式あり）
＜初心者さんにおすすめの二店舗＞
名都酒樓 (Metropol Restaurant) @金鐘：清潔感があり、言葉が通じなくても注文できる。
[香港]ワゴン式飲茶レストラン初めての方におすすめ〜 名都酒樓(Metropol Restaurant)
倫敦大酒樓 (London Restaurant) ＠旺角：大衆的。写真付きの日本語のメニューがあります。
[香港]旺角ワゴン式飲茶レストラン 倫敦大酒樓 (London Restaurant)
酒樓（ワゴン式なし）
八月居 (House of Jasmine)：モダン点心
唐宮小聚 (Social Place) ＠中環：見た目のかわいい点心食べてみたい？
福臨門酒家 (Fook Lum Moon) ＠灣仔：間違いない味
龍景軒（Lung King Heen）ミシュラン３星＠中環
景色は素晴らしく、サービスもよい。ミシュラン３星に期待しすぎたのかな。高級食材を使い、金粉を散りばめても、点心は点心でしかない。
竹園海鮮飯店（Chuk Yuen Seafood Restaurant）＠上環
味は悪くないんだけれど、地下で空気が悪く、サービスも今ひとつ。
デザートを注文して、なかなか来ないから確認してみたら「売り切れ」と一言。
（先に言ってよぉ〜！）
番外編：中国茶をより楽しみたい！
- 茶葉の種類が豊富。
- パーソナルスペースが確保されている。
- 静かで、落ち着いた雰囲気で、長居しやすい。
- 使用している食器が清潔で、衛生面で安心。
- サービス料が含まれる。
- 支払いはクレジットカードもOK。
- お茶の価はHK$55〜スタート。
- 点心を楽しむ場所と考えないほうがよく、あくまで茶が主役！
- お茶を提供するから伝統的というわけではなく、飲茶人気に乗ったビジネスと言われている。
樂茶軒（Lock Cha）＠金鐘：べジタリアン点心を提供
地価高騰、デモ、コロナ、観光客減少の影響を受け、小さな店への打撃は大きそう。
50年後にはどうなっているのでしょう。
時代背景を知ると、まだ茶樓で点心を楽しめることに感謝し、足しげく通う毎週末なのであります。
皆さんの好みのタイプは見つかりましたか？
